経費精算システムを安全に利用するには、第三者認証、データ保護、アクセス制御、ログイン管理・ID管理、障害対策などのセキュリティ項目を確認することが重要です。ここでは、経費精算システムでセキュリティ対策が必要な理由と、比較時に確認したい主な項目、自社に必要な要件の考え方を解説します。
経費精算システムでは、従業員の申請情報や領収書データ、承認履歴、支払に関わる情報を扱うため、セキュリティ対策が重要です。
経費精算は、申請者、承認者、経理担当者など複数の利用者が関わる業務です。社外からの申請やスマートフォン利用がある場合、ログイン情報の漏えいや端末紛失、不正アクセスによって、個人情報や取引情報が外部に流出するリスクがあります。
また、経費精算データは会計処理や内部統制にも関係します。申請内容や承認履歴が適切に保護されていないと、改ざん、不正申請、監査時の確認漏れにつながる可能性があります。日常的に利用する業務システムだからこそ、認証、アクセス制御、通信保護、障害対策を含めて確認することが大切です。
経費精算システムのセキュリティ項目は、認証・第三者評価、データ保護、アクセス制御、ログイン管理、障害対策に分けて見ると整理しやすくなります。対象ページの対応状況を見る際は、項目数の多さだけでなく、自社の申請・承認・経理処理の流れに必要な対策かを確認することが重要です。
分類 | 主な項目 | 確認できること |
|---|
認証・第三者評価 | ISMS、Pマーク、TRUSTe、ISO/IEC 27017、PCIDSS | 情報セキュリティ管理、個人情報保護、クラウドサービスの安全性、決済データ保護に関する外部評価の有無 |
データ保護 | 通信の暗号化 | 申請情報、領収書データ、承認内容などを通信時に保護できるか |
アクセス制御 | IP制限 | 社内ネットワークや許可した環境からの利用に制限できるか |
ログイン管理・ID管理 | 二要素認証・二段階認証、シングルサインオン | 不正ログインを防ぎ、社内ID管理と連携しやすいか |
障害対策 | 冗長化 | 障害発生時にも経費精算業務への影響を抑えられる構成か |
対応状況が「あり」でも、利用できるプラン、対象ユーザー、設定単位はサービスによって異なります。特に経費精算システムでは、一般従業員、承認者、経理担当者で利用範囲が異なるため、どの利用者にどの対策を適用できるかまで確認が必要です。
認証・第三者評価は、サービス提供会社が情報セキュリティや個人情報保護をどのように管理しているかを確認するための項目です。経費精算では従業員情報や取引関連情報を扱うため、社内のセキュリティ基準に合うかを見る判断材料になります。
ISMSは、情報セキュリティ管理体制に関する認証です。組織として情報資産を管理する仕組みが整備されているかを見るための認証です。
Pマークは、個人情報の取り扱いに関する管理体制を示す認証です。従業員情報や申請情報を扱う経費精算システムでは、個人情報保護の観点で確認したい項目です。
TRUSTeは、個人情報やプライバシー保護に関する第三者認証です。サービス上で扱う個人情報の管理方針を確認する補助的な判断材料になります。
ISO/IEC 27017は、クラウドサービスの情報セキュリティ管理に関する認証です。クラウド型の経費精算システムを利用する場合、クラウド環境での安全管理体制を見極める材料になります。
PCIDSSは、クレジットカード情報などの決済データ保護に関する基準です。法人カードやカード利用明細に関わる運用がある場合は、対象データや対応範囲を個別に確認する判断材料になります。
データ保護は、経費申請や承認処理でやり取りされる情報を安全に扱うための観点です。通信経路上で情報が読み取られたり改ざんされたりするリスクを抑えるために確認します。
通信の暗号化は、申請データや領収書画像、承認内容などを送受信する際に保護する仕組みです。社外やスマートフォンから利用する場合にも重要な項目です。
アクセス制御は、経費精算システムにアクセスできる環境を制限するための対策です。管理者や経理担当者が扱う情報を、許可された環境からのみ利用できるようにする際に役立ちます。
IP制限は、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する仕組みです。社内ネットワークや拠点からの利用に限定したい場合に確認したい項目です。
ログイン管理・ID管理は、なりすましや退職者アカウントの放置を防ぐための観点です。従業員数が多い企業や複数システムを利用している企業では、ID管理のしやすさも重要になります。
二要素認証・二段階認証は、IDとパスワードに加えて追加認証を求める仕組みです。パスワード漏えい時の不正ログインリスクを抑える対策として確認できます。
シングルサインオンは、社内で利用する認証基盤と連携してログインを管理する仕組みです。入退社や異動に伴うアカウント管理を効率化し、不正利用の防止にもつながります。
障害対策は、システム停止時に経費精算業務への影響を抑えるための観点です。月末月初や決算期など、申請・承認が集中する時期には特に重要です。
冗長化は、サーバーやシステム構成を複数用意し、障害時の停止リスクを抑える仕組みです。経費精算の遅延が会計処理や支払処理に影響する場合、確認しておきたい項目です。
経費精算システムのセキュリティ要件は、自社の申請・承認フローや利用環境に合うかで判断することが大切です。対応項目の多さだけでなく、扱うデータ、利用者の範囲、社外アクセスの有無を整理し、優先すべき対策を見極めましょう。
自社の状況や利用シーン | 確認すべき観点 | 優先して見たい項目 |
|---|
全従業員が経費申請を行う | 一般従業員のログインを安全に管理できるか | 二要素認証・二段階認証、シングルサインオン |
経理担当者が申請内容や支払情報を確認する | 経理部門が扱う情報へのアクセスを制限できるか | IP制限、シングルサインオン |
スマートフォンや社外から申請する | 社外利用時の通信やログインを保護できるか | 通信の暗号化、二要素認証・二段階認証 |
領収書画像や申請履歴を保管する | 個人情報や取引情報の管理体制を確認できるか | ISMS、Pマーク、TRUSTe |
クラウド型サービスを利用する | クラウド環境での安全管理体制を確認できるか | ISO/IEC 27017、通信の暗号化 |
法人カードやカード明細に関わる 運用がある | 決済関連データの扱いと保護範囲を確認できるか | PCIDSS |
月末月初や決算期に利用が集中する | 障害時にも申請・承認業務への影響を抑えられるか | 冗長化 |
経費精算システムでは、申請データ、領収書データ、承認履歴、支払に関わる情報を安全に扱えることに加え、申請者、承認者、経理担当者ごとに適切な制御をかけられるかが重要です。認証、アクセス制御、データ保護、障害対策の対応範囲はサービスやプランによって異なるため、自社の業務で誰が、どの情報に、どの環境からアクセスするのかを整理したうえで、必要な条件を満たせる候補を比較しましょう。