ビジネスチャットツールを安全に利用するには、第三者認証、ログイン管理、アクセス制御、監視・ 記録、データ保護・保管、障害・復旧対策などのセキュリティ項目を確認することが重要です。ここでは、ビジネスチャットツールでセキュリティ対策が必要な理由と、比較時に確認したい主な項目、自社に必要な要件の考え方を解説します。
ビジネスチャットツールでセキュリティ対策が重要な理由
ビジネスチャットツールでは、日常的な業務連絡に社内情報や顧客情報が含まれるため、セキュリティ対策が重要です。部署をまたいだやり取り、ファイル共有、外部メンバーとの連絡などに使われることも多く、利用範囲が広がるほど情報漏えいや不正アクセスのリスクも高まります。
特に、営業情報、顧客対応履歴、プロジェクトの進捗、社内の意思決定に関する内容がチャット上に残る場合は、誰がどの情報にアクセスできるかを適切に管理する必要があります。また、障害やデータ消失が発生すると、社内連絡や顧客対応が滞る可能性もあるため、認証、権限、ログ、データ保護、復旧体制をあわせて確認することが大切です。
ビジネスチャットツールのセキュリティ項目は、認証や権限管理だけでなく、通信の保護、ログの記録、データ保管、障害時の備えまで幅広く確認することが大切です。自社で扱う情報の機密性や利用者の範囲によって優先すべき項目は変わるため、まずは各項目がどのようなリスクに関係するのかを整理しておきましょう。
分類 | 主な項目 | 確認できること |
|---|
認証・第三者評価 | 公的認証、ISMS、Pマーク | 外部基準に基づく情報管理体制や個人情報保護の取り組み |
ログイン管理 | 二要素認証・二段階認証、シングルサインオン、パスワード | アカウントのなりすましや不正ログインを防ぐ仕組み |
アクセス制御 | 個人単位の権限付与、IP制限、ゲストモード | 利用者や接続元に応じてアクセス範囲を制限できるか |
監視・記録 | ログ管理 | 操作履歴やアクセス状況を確認できるか |
データ保護・保管 | 通信の暗号化、国内サーバーの有無 | 通信中の情報保護やデータ保管場所を確認できるか |
障害・復旧対策 | データバックアップ、冗長化 | 障害やデータ消失時に業務継続を支える仕組みがあるか |
対応有無が同じでも、対象となるプラン、管理できる範囲、設定できる単位はサービスによって異なります。自社の情報セキュリティポリシーや利用部門の範囲に照らし、必要な条件を個別に確認することが欠か せません。
認証・第三者評価は、ビジネスチャットツールの提供会社が情報セキュリティや個人情報保護に関する管理体制を整えているかを確認するための項目です。社内の会話履歴やファイル、取引先とのやり取りを扱う場合は、取得している認証の種類を確認しましょう。
公的認証は、サービス提供会社やサービスの管理体制が外部の基準に沿って確認されているかを見る項目です。法人利用では、社内のセキュリティ審査で確認されることがあります。
ISMSは、情報セキュリティ管理体制に関する認証です。組織として情報を適切に管理する仕組みが整備されているかを確認する手がかりになります。
Pマークは、個人情報の取り扱いに関する管理体制を確認する項目です。顧客名や担当者情報など、個人情報をチャット上で扱う可能性がある場合に見ておきたい観点です。
ログイン管理は、ビジネスチャットツールにログインするユーザーを適切に認証し、不正ログインを防ぐための項目です。従業員数が多い企業や複数部門で利用する場合は、二要素認証、シングルサインオン、パスワード設定に対応しているかを確認しましょう。
二要素認証・二段階認証は、IDとパスワードに加えて別の確認手段を求める仕組みです。アカウントの乗っ取りや不正ログインのリスクを抑えるために有効です。
シングルサインオンは、社内のID管理基盤と連携してログインできる仕組みです。従業員の入退社や異動に合わせてアカウント管理を行いやすくなります。
パスワード項目では、パスワード管理に関する設定や運用条件を確認します。複雑さや有効期限などの詳細は、サービスごとに個別確認が必要です。
アクセス制御は、ビジネスチャットツールを利用できるユーザーや接続元、権限範囲を制限するための項目です。社外メンバーを招待する運用がある場合は、個人単位の権限付与、IP制限、ゲストモードの有無を確認しましょう。
個人単位の権限付与は、利用者ごとにアクセス範囲や操作権限を分けられるかを見る項目です。部署や役職によって閲覧できる情報を制限したい場合に重要です。
IP制限は、特定のネットワークからのアクセスだけを許可する仕組みです。社外や不明な環境からの接 続を制限したい企業で確認したい項目です。
ゲストモードは、外部メンバーを限定的に招待できる機能です。取引先や業務委託先とやり取りする場合は、閲覧範囲や参加できるルームの制御が重要になります。
監視・記録は、ビジネスチャットツール上で行われた操作や利用状況を確認するための項目です。情報漏えいや不正利用が発生した際に状況を追跡できるよう、ログ管理に対応しているかを確認しましょう。
ログ管理は、誰がいつアクセスし、どのような操作を行ったかを記録・確認するための項目です。問題発生時の調査や内部統制の観点で役立ちます。
データ保護・ 保管は、チャット内容や共有ファイルを安全に送受信し、適切な環境で保管するための項目です。機密情報や個人情報を含むやり取りがある場合は、通信の暗号化や国内サーバーの有無を確認しましょう。
通信の暗号化は、送受信されるチャット内容やファイル情報を保護する仕組みです。社内外のネットワークから利用する場合に、基本的な確認対象になります。
国内サーバーの有無は、データの保管場所を確認する項目です。業界ルールや社内規程でデータ保管地域に条件がある場合は、個別確認が必要です。
障害・復旧対策は、障害発生時にもビジネスチャットツールをできるだけ安定して利用し、データ消失のリスクを抑えるための項目です。社内連絡や緊急時の共有手段として利用する場合は、データバックアップや冗長化への対応を確認しましょう。
データバックアップは、障害や誤削除が起きた際にデータを復旧できる可能性を確認する項目です。チャット履歴や共有ファイルを業務記録として使う場合に重要です。
冗長化は、サーバーやシステムに障害が起きてもサービスを継続しやすくするための仕組みです。全社連絡や顧客対応で常時利用する場合は確認しておきたい観点です。
自社に必要なセキュリティ要件は、ビジネスチャットツールをどの業務で、誰が、どの環境から利用するかに合うかで判断することが大切です。対応項目の多さだけでなく、扱う情報の機密性、利用者の範囲、社外アクセスや外部メンバー利用の有無を整理し、優先すべき対策を見極めましょう。
自社の利用シーン | 確認すべき観点 | 優先して見たいセキュリティ項目 |
|---|
全社の連絡基盤として利用する | 従業員ごとのアクセス管理や不正ログイン対策ができるか | 二要素認証・二段階認証、シングルサインオン、パスワード、個人単位の権限付与 |
顧客情報や案件情報を扱う | 個人情報や機密情報の取り扱いに関する管理体制を確認できるか | 公的認証、ISMS、Pマーク、通信の暗号化、ログ管理 |
社外やリモート環境から利用する | 接続元やログイン方法を制御できるか | IP制限、二要素認証・二段階認証、シングルサインオン |
取引先や外部メンバーとやり取りする | 外部ユーザーの閲覧範囲を限定できるか | ゲストモード、個人単位の権限付与、ログ管理 |
業務連絡や意思決定の履歴を残す | 操作履歴やチャット履歴を確認できるか | ログ管理、データバックアップ、国内サーバーの有無 |
障害時にも連絡手段を維持したい | データ消失やサービス停止への備えがあるか | データバックアップ、冗長化 |
ビジネスチャットツールでは、社内外の連絡内容や共有ファイルを安全に扱えることに加え、従業員、管理者、外部メンバーごとに適切な制御をかけられるかが要です。
認証、アクセス制御、ログ管理、データ保護、障害対策の対応範囲はサービスやプランによって異なるため、自社の業務で誰が、どの情報に、どの環境からアクセスするのかを整理したうえで、必要な条件を満たせる候補を比較しましょう。