WMSの料金体系は、月額定額制、ユーザー課金、出荷件数に応じた従量制などに分かれます。基本料金に一定数のユーザーを含むプランもあれば、倉庫や荷主を追加するたびに月額料金が加算されるプランもあります。
3PLサービスと一体になった料金体系では、システム利用料だけでなく、入庫作業や保管に対する料金も発生します。WMS単体の費用と物流作業費を分けて比べましょう。
主要な課金モデル(基本料金・従量料金・初期費用の違い)
WMSの総額は、システムの基本料金、利用規模に応じた従量料金、導入時の初期費用で構成されます。
課金項目 | 主な課金単位 | 主な内容 |
|---|
月額基本料金 | 1契約・1環境 | 入荷、在庫、出荷などの基本機能 |
ユーザー料金 | 1ユーザー | 倉庫担当者や管理者の追加利用料 |
出荷従量料金 | 出荷1件・件数帯 | 月間出荷数に応じて発生する料金 |
倉庫追加料金 | 1倉庫・1倉庫コード | 管理する物流拠点を増やす際の料金 |
荷主追加料金 | 1荷主・1寄託者 | 3PLなどで管理対象を増やす際の料金 |
初期費用 | 導入時 | 環境設定、導入支援、初期登録など |
物流作業料金 | 入庫量・保管量 | 入庫作業や保管スペースに対する料金 |
たとえば、5ユーザー分を含む月額プランに、ユーザー追加料や荷主追加料を加える方式があります。別のプランでは、倉庫コードや寄託者を追加するたびに月額料金が上乗せされます。
出荷数を基準にするサービスでは、一定件数まで従量料金をかけず、上限を超えた分に1件単位の料金を設定しています。固定費だけでなく、通常月と繁忙月の出荷件数を当てはめて試算しましょう。
システム利用料を0円とする料金体系もあります。ただし、完全に費用がかからないとは限りません。月間出荷数が一定件数を下回った場合の最低料金や、入庫量・保管スペースに応じた費用が設定されるケースがあります。
月額固定費を抑えられるプランは、出荷数がまだ安定していない事業者にも選択肢となります。一方、物流量が増えれば、作業料金や従量料金も上昇します。契約前に、システム費、入庫費、保管費、出荷費を分けて整理しておくと判断しやすくなります。
WMSは、最低契約期間や最低利用人数を個別に設定するサービスが多く、料金表だけでは契約条件を判断できないことがあります。月額料金が公開されていても、利用開始時の契約期間や更新単位は別途確認が必要です。
出荷件数や荷主数に最低条件が設けられる場合もあります。月間出荷数が少ないと最低利用料金が適用される料金体系では、繁忙期よりも閑散期の費用に注意が必要です。
WMSの費用を大きく変えるのは、利用人数よりも物流の処理量と管理単位です。月間出荷数に加え、倉庫、荷主、店舗などをいくつ管理するかによって、契約内容が変わります。
出荷従量制では、月間出荷数が増えるほど支払額も増加します。ただし、出荷量が増えるにつれて1件あたりの単価を下げる段階制のプランもあります。
月100件まで は従量料金なし、101件目以降は件数帯ごとに単価が変わる料金体系も確認できます。通常月だけでなく、セールや繁忙期の最大出荷数でも計算しておくと、年間予算を組みやすくなります。
出荷件数の数え方も重要です。複数商品をまとめた1注文を1件とするのか、梱包や送り状単位で数えるのかによって請求額が変わる可能性があります。
複数倉庫を管理する場合、倉庫コードの追加ごとに月額料金が発生するプランがあります。新しい拠点を追加するたびに、システム利用料だけでなく、初期設定や運用ルールの整備も必要になります。
本社倉庫と外部倉庫を同じ環境で扱えるか、拠点ごとに在庫や作業状況を分けられるかも確認したいところです。将来の倉庫増設を予定している企業は、現在の拠点数だけで判断しない方がよいでしょう。
複数企業の商品を預かる3PL事業者では、荷主数が料金へ直結します。ショップ・荷主の追加に月額料金を設定するプランや、寄託者ごとに追加料金を課すプランが提供されています。
同じ企業でも、ブランドやECショップを別荷主として管理する場合があります。契約上の荷主単位が、自社の運用と一致しているかを見ておく必要があります。
基本料金に一定数のユーザーを含み、上限を超えると1人単位で追加料金がかかるプランがあります。たとえば、5ユーザー分を含み、追加ユーザーに月額料金を設定する方式です。
入出荷を行う作業者だけでなく、在庫を確認する管理者や荷主側の利用者にもIDが必要かを整理しましょう。繁忙期の短期スタッフへ個別IDを付与する場合、追加と削除のタイミングも費用に関わります。
WMSでは、月額料金とは別に、導入支援や管理対象の追加費用が発生します。物流業務を外部委託するタイプでは、入庫や保管の作業料金も含めて比較しなければなりません。
初期費用には、利用環境の構築や操作説明などが含まれる場合があります。導入支援サービスにまとまった初期費用を設定するプランや、月額利用料の3カ月分を初期導入費用とする料金体系もあります。
商品、ロケーション、荷主、作業者などの初期登録をどこまで依頼できるかによって、社内の準備負担は変わります。見積書では、システム環境の設定とマスタ登録を分けて確認すると分かりやすくなります。
導入後に利用規模を広げると、追加ユーザー、倉庫コード、荷主・寄託者などの月額料金が加算されます。
ユーザー追加と荷主追加で単価が異なるプランもあるため、現在の人数だけでなく、今後増 やす可能性がある管理単位まで洗い出しておきましょう。複数項目を追加すると、上位プランや大規模センター向けの個別見積もりへ移行する場合もあります。
3PLサービスとWMSを組み合わせる場合は、入庫量や保管スペースに応じた料金が発生します。1点単位の入庫料金や、一定面積ごとの保管料を設定するプランも提供されています。
商品の大きさ、入荷頻度、保管期間が変われば、システム利用料が同じでも支払総額は変動します。物流委託を含むサービスは、WMS単体の料金と同じ基準では比較できません。
大規模な物流センター向けに、標準プランとは別の見積もりを提示するサービスがあります。複雑な作業工程や多数の荷主を扱う場合、標準機能だけでは運用しきれない可能性があるためです。
個別設定の対象が増えるほど、初期費用だけでなく、導入後の変更費用も考慮する必要があります。標準運用へ合わせられる部分を整理しておくと、追加開発を抑えやすくなります。
WMSの費用対効果は、出荷件数だけで判断するものではありません。入荷検品、ロケーション管理、ピッキング、梱包、在庫照会など、倉庫内の作業全体を対象にします。
削減対象には、紙のリストを使ったピッキング、在庫数の照会、出荷実績の転記、荷主への報告などが含まれます。
月間の業務時間削減額= 1出荷あたりの削減時間 ÷ 60 × 月間出荷件数 × 作業者の人時単価
入荷や棚卸しでも作業時間が減る場合は、それぞれ分けて計算します。一方、商品 マスタの更新やエラー対応など、導入後も残る管理作業は削減額から差し引きます。
月額固定費と出荷従量料金がある場合は、次の式で費用回収に必要な出荷件数を試算できます。
損益分岐点となる月間出荷件数= 月額固定費 ÷(1出荷あたりの削減効果額-1出荷あたりの従量料金)
初期費用は、想定する利用月数で割って月額固定費へ加えます。荷主や倉庫の追加料金も固定費に含めると、導入規模に合った損益分岐点を算出できます。
出荷数、ユーザー数、倉庫数、荷主数が増えたときは、追加料金を積み上げる場合と、上位プランへ変更する場合を比べます。