モバイルオーダーシステムの料金体系は、月額固定制と従量課金制に大きく分けられます。両方を組み合わせ、月額料金に加えてオンライン決済手数料を請求する方式もあります。
店内注文では、店舗数や卓数を基準に料金を設定するサービスが見られます。一方、テイクアウトやデリバリー向けでは、注文金額に対するサービス利用料や、決済1件ごとの手数料が費用へ反映されやすい傾向です。
主要な課金モデル(基本料金・従量料金・初期費用の違い)
モバイルオーダーシステムの総額は、システム利用料、注文・決済に伴う手数料、導入時の機器費用などで構成されます。
課金項目 | 主な課金単位 | 主な内容 |
|---|
月額基本料金 | 1店舗・1契約 | 注文受付やメニュー管理などの利用料 |
店舗・卓数料金 | 店舗数・テーブル数 | 導入店舗や客席規模に応じた料金 |
サービス利用料 | 注文金額・注文件数 | 注文を受け付けるたびに発生する従量料金 |
決済手数料 | 決済金額・1オーダー | オンライン決済の利用に伴う手数料 |
初期費用 | 導入時 | 環境設定、機器購入、設置などの費用 |
オプション料金 | 機能・機器ごと | キッチンモニター、プリンター、POS連携など |
月額固定費を設定せず、サービス利用料と決済手数料だけで使えるプランがあります。その一方で、店舗ごとの月額料金を支払い、注文手数料なしで運用できるサービスも提供されています。
初期費用についても一律ではありません。機器を購入する代わりに月額料金を抑えるプランと、初期費用をなくして機器をレンタルするプランがあるため、契約期間を踏まえた総額で比べる必要があります。
無料プランには、モバイルオーダーとPOSレジを試せるものや、注文受付を無料で始められるものがあります。ただし、月額固定費が無料でも、オンライン決済を利用すると決済手数料が発生します。
無料で利用できる範囲もサービスごとに異なります。オーダー管理とテーブル管理だけに機能を絞ったプランもあれば、店舗受け取りやデリバリー、Webサイト作成まで利用できるプランもあります。
有料プランでは、キッチンディスプレイとの連携、多言語メニュー、売上管理、時間帯別のメニュー切り替えなど、店舗運営を支える機能が充実します。無料版を選ぶときは、注文を受けられるかだけでなく、会計や厨房への連携まで完結するかを見ておきたいところです。
モバイルオーダーシステムには、最低契約期間を設けないプランがある一方、3カ月や12カ月の契約を条件とするプランもあります。短期間のテスト導入を考えている店舗では、月額料金だけでなく解約できる時期も判断材料になります。
店舗数については、1店舗から始められるサービスが中心です。ただし、複数店舗へ展開すると店舗単位で月額料金が加算される場合があります。個別見積もりのサービスでは、店舗規模や必要な機器、連携内容を伝えたうえで費用が決まります。
モバイルオーダーシステムの費用は、注文を受け付ける場所と会計方法によって大きく変わります。まずは店内注文、テイクアウト、デリバリーのどこまで対応するかを整理すると、必要なプランを絞りやすくなります。
店内向けでは、来店客がテーブルのQRコードを読み取り、スマートフォンから注文する運用が中心です。料金は店舗単位のほか、卓数や客席規模に応じて段階的に上がるケースがあります。
テイクアウトやデリバリーを受け付ける店外向けでは、オンライン決済や受取時間の指定が欠かせません。月額無料で始められても、注文額に対するサービス利用料や決済手数料が売上から差し引かれることがあります。
店内と店外の両方へ対応したい場合は、それぞれ別のプランが必要なのか、1つの契約にまと められるのかを見比べましょう。
従量課金型では、注文数や売上が増えるほど支払額も増加します。注文金額に一定割合を掛けるサービス利用料と、オンライン決済の手数料が重なるプランもあるため、売上だけを基準に考えると負担を見誤りかねません。
注文数が少ない店舗では、固定費を抑えられる従量課金型が使いやすい場合があります。反対に、注文数や売上が多い店舗では、月額固定制の方が費用を管理しやすくなることもあります。月額固定制と従量課金制を比べる際は、通常月に加えて繁忙月の注文数でも試算すると、年間費用のずれを抑えられます。
店舗単位で月額料金が決まるプランでは、出店数に応じて固定費が増えます。卓数を料金基準とするサービスもあり、小規模店と大型店で月額料金が同じとは限りません。キッチンモニターやハンディ端末の台数も費用に関わります。基本料金に1台分を含むプランでも、追加端末は別料金となる可 能性があります。
多店舗展開を予定している場合は、店舗追加の単価に加え、本部で売上やメニューを一括管理できるかも確認したい点です。
モバイルオーダー単体で使えるサービスもあれば、指定されたPOSレジやハンディの導入を前提とするサービスもあります。POSレジを新たに契約する場合、モバイルオーダーの月額料金だけでは実際の運用費を把握できません。
事前決済に対応するサービスでは、クレジットカードなどの決済手数料が発生します。店頭会計だけで運用するのか、注文と同時に支払いまで完了させるのかによって、料金構成は変わります。
既存POSとの連携可否も重要です。連携できなければ、注文内容をレジへ打ち直す作業が残り、導入効果が薄れる可能性があります。
モバイルオーダーシステムでは、月額料金が低くても、決済手数料や周辺機器の追加によって総額が膨らむことがあります。初期費用が無料かどうかだけでなく、店舗で注文を処理するために何が必要かを洗い出しましょう。
テイクアウト向けのプランには、決済金額に対する手数料に加え、1オーダーごとの固定料金がかかるものがあります。注文金額に一定割合を掛けるサービス利用料と、カードブランドごとの決済手数料を分けて設定するサービスも見られます。
売上から差し引かれる費用を把握するには、平均注文単価と月間注文数を使って試算します。月額無料という表示だけで選ばず、1件の注文を受けるたびにいくら残るかまで計算すると比較しやすくなります。
店内注文を厨房へ伝えるには、キッチンモニターやレシートプリンターが必要 になることがあります。初期費用にWi-Fiルーターやプリンターを含むプランもあれば、機器を別途購入する方式もあります。
iPadなどの端末を自社で用意できるサービスでも、使用できる機種や周辺機器には条件が設けられる場合があります。機器代のほか、故障時の交換、保守、追加端末の料金まで予算に入れておくと安心です。
モバイルオーダーを利用するために、同じ事業者のPOSレジやハンディを導入しなければならないサービスがあります。表示されている月額料金にPOS関連費用が含まれるケースもあるため、料金の内訳を切り分ける必要があります。
既存のレジを残せる場合でも、注文連携や商品マスタの同期に追加設定が必要になることがあります。レジ、ハンディ、モバイルオーダーを合わせた店舗全体の費用で判断しましょう。
導入時には、商品名、価格、写真、説明文、アレルギー情報、提供時間などを登録します。商品数が多い店舗や、時間帯ごとにメニューを切り替える店舗では、登録作業にも相応の時間がかかります。
初期設定や操作説明を有料サポートとして提供するサービスもあります。自社でメニューを登録する場合は、写真撮影や原稿作成にかかる工数も導入コストに含めると、予算を立てやすくなります。
モバイルオーダーシステムの費用対効果は、注文を取る時間の短縮と、注文1件あたりのシステム費用を比べて判断します。人件費だけでなく、注文の入力や会計に残る作業も含めて考えることが重要です。
店内注文では、スタッフが客席を回って注文を聞き、ハンディやレジへ入力する時間が削減対象になります。テイクアウトでは、電話注文の受付や聞き取り内容の転記にかかる作業を減らせる可能性があり ます。
月間の業務時間削減額= 1件あたりの削減時間 ÷ 60 × 月間注文数 × 人時単価
注文の修正、問い合わせ対応、メニュー更新など、導入後も残る作業時間は差し引きます。注文数が多い時間帯だけに絞って測定すると、実態に近い効果を算出できます。
従量課金型では、1件あたりの削減額から、サービス利用料と決済手数料を差し引いて考えます。
損益分岐点となる月間注文数= 月額固定費 ÷(注文1件あたりの削減効果額-注文1件あたりの従量費)
月額固定費がないプランでは、1件あたりの削減効果額が従量費を上回るかを確認します。注文単価によって決済手数料が変わるため、平均注文単価を使った計算が必要です。
注文数が増え、従量課金の負担が大きくなった場合は、月額固定制や上位プランとの比較が必要です。キッチンモニター、多店舗管理、POS連携などを個別に追加している店舗も、オプション料金の合計を一度見直した方がよいでしょう。
ただし、上位プランへの変更で決済手数料まで下がるとは限りません。月額料金、サービス利用料、決済手数料、端末費用をまとめて並べ、年間総額が抑えられる構成を選びます。