AI-OCRを安全に利用するには、認証、データ保護、アクセス制御、ID管理などのセキュリティ項目を確認することが重要です。ここでは、AI-OCRでセキュリティ対策が必要な理由と、比較時に確認したい主な項目、自社に必要な要件の考え方を解説します。
AI-OCRでセキュリティ対策が重要なのは、読み取る帳票に取引先情報、金額、個人情報、契約情報などの機密性が高い情報が含まれるためです。
AI-OCRでは、請求書・注文書・契約書・申込書など、企業の重要書類をスキャンしてデータ化します。特にクラウド上で帳票画像や読み取り結果を処理する場合、情報の送受信や保管、閲覧権限の管理が不十分だと、情報漏えいや不正アクセスのリスクにつながります。
そのため、認識精度や料金だけで選ぶのではなく、通信経路の保護、ログイン時の認証、アクセス元の制限、情報セキュリティ管理体制をあわせて確認することが大切です。複数部門で利用する場合や、経理・法務・営業事務など機密性の高い帳票を扱う場合は、社内のセキュリティ基準に合うサービスかを事前に確認しましょう。
AI-OCRのセキュリティは、第三者認証、データ保護、アクセス制御、ログイン認証の4つに分けて確認すると比較しやすくなります。
分類 | 主な項目 | 確認できること |
|---|
認証・第三者評価 | ISMS | 情報セキュリティ管理体制の整備状況 |
データ保護 | 通信の暗号化 | 帳票データ送受信時の保護状況 |
アクセス制御 | IP制限 | 利用できる接続元の制限可否 |
認証・ID管理 | 二要素認証・二段階認証 | ログイン時の本人確認強化の可否 |
一覧表では、各サービスがどの項目に対応しているかを横並びで確認できます。ただし、対応の有無だけでは運用条件までは判断できないため、利用できるプラン、設定単位、管理者権限、対象ユーザーの範囲は個別に確認しましょう。
第三者認証は、サービス提供企業の情報セキュリティ管理体制を確認するための項目です。
ISMSは、情報セキュリティマネジメントシステムに関する認証です。サービス提供企業が、情報の管理体制やリスク管理の仕組みを継続的に整備しているかを確認する目安になります。
ただし、ISMSを取得している場合でも、認証の対象範囲がAI-OCRサービス全体なのか、一部の事業・部門なのかは確認が必要です。
データ保護では、読み取り対象の帳票データや出力データが安全に送受信されるかを確認します。
通信の暗号化は、ユーザー端末とサービス間でやり取りされるデータを保護するための機能です。AI-OCRでは、帳票画像、PDF、CSV出力データなどを扱うため、通信経路で情報が第三者に読み取られにくい状態になっているかを確認する必要があります。
特にクラウド型AI-OCRを利用する場合は、アップロード時、処理結果の確認時、外部システム連携時の通信保護について確認するとよいでしょう。
アクセス制御では、誰が、どこからAI-OCRにアクセスできるかを制限できるかを確認します。
IP制限は、許可したネットワークからのみサービスにアクセスできるようにする機能です。社内ネットワークや特定拠点からの利用に限定したい場合、重要な確認項目になります。
経理部門や管理部門など、限られた担当者だけが帳票データを扱う運用では、IP制限の有無に加えて、拠点単位・部門単位で柔軟に設定できるかも確認するとよいでしょう。
認証・ID管理では、不正ログインやアカウントのなりすましを防ぐ仕組みを確認します。
二要素認証・二段階認証は、ID・パスワードに加えて別の確認手段を使い、ログイン時の安全性を高める機能です。アカウントのなりすましや、パスワード漏えい時の不正ア クセスを防ぎたい場合に確認したい項目です。
利用時は、全ユーザーに適用できるのか、管理者のみなのか、認証アプリやメールなど対応方式は何かを確認しましょう。
AI-OCRのセキュリティ要件は、対応項目の数ではなく、扱う帳票、利用部門、社内ポリシーに応じて優先順位を決めることが重要です。
自社の状況 | 重視したい項目 | 理由 |
|---|
請求書・契約書・申込書など機密性の高い帳票を扱う | ISMS、通信の暗号化 | 重要情報を扱うため、管理体制とデータ保護の両方を確認する必要がある |
クラウド上に帳票画像や読み取り結果をアップロードする | 通信の暗号化 | データ送受信時の保護が重要になる |
経理・法務・営業事務など複数部門で利用する | 二要素認証・二段階認証、IP制限 | 利用者が増えるほど、不正ログインや不要なアクセスを防ぐ必要がある |
社内のセキュリティ基準が厳しい | ISMS、IP制限、二要素認証・二段階認証 | 情報システム部門や監査部門の確認項目になりやすい |
まずは少人数で試験導入する | 通信の暗号化、二要素認証・二段階認証 | 最低限の安全性を確保しながら運用検証しやすい |
一覧表では、まず必須条件に該当する項目を満たすサービスを絞り込み、そのうえで料金、導入実績社数、読み取り対象帳票、外部連携などを比較すると選びやすくなります。セキュリティ対策対応率は全体感を見る目安になりますが、自社に必要な項目が含まれているかを優先して確認しましょう。